思い出満月

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響きわたる大音量。 「なななに!?」 「どうしたのマキコちゃん!」 アタシの叫び声に負けないくらいの音量で駆け込んでくる二人。 空き部屋ひとつ挟んだお隣さんの杉田さん♀。 あとは一階に住んでる動物嫌いな管理人の峰村さん♂。 その二人が見たのは 「………」 犬。 ではなくて。 ベットに横たわる、裸体の美少年。 と、それから逃げるように壁際にへばりつくアタシの滑稽な姿…。 二人と、目が合う。 説明を要求してくるその視線に耐えきれない。 説明して欲しいのはアタシも同じだけど。 ど、どうしよう。 どうすれば…! と、とりあえず、この美少年は害なさそうだし放っておこう。 「あ、あはっ…や、やだなこんな格好で寝てて」 ぎくしゃくと不自然な動きで美少年に布団をかける。 「す、すいません…この子遠い親戚で」 に、似てない。 明らかに純日本人のアタシとは血が違う…! 「遠い、親戚…で」 に、二回言っちゃったよお。 「今まで外国に住んでたんだけど、昨日、日本に着いて。観光って事でしばらくこっちに滞在するみたいなんで、迷惑おかけしますー」 …ベラベラとクチから、いい加減な言葉を並べてみたけど。 意外に納得してくれたみたい。 まだ寝息を立ててる美少年に後ろ髪を引かれつつ、二人は退散してった。 .
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