13人が本棚に入れています
本棚に追加
ざあざあと海が鳴いている。
こっちにおいでと呼んでいる。
静かな浜辺には私一人だけ。
目の前には広くて大きな海。
「…………」
素足が踏む砂が冷たい。
温い潮風が全身を撫でる。
長く伸ばした髪が体に絡む。
スカートの裾がはためいた。
でもそんなこと、今は、ちっとも気にならない。
ぱしゃん。と踏んだ海水は、風より冷たい。
打ち寄せる波に両足を浸すと、冷たくて心地良い。
もっと遠くまで行きたい。
この冷たさに、触れたい。
あと少し。
あと少しなら、きっと平気。
最初のコメントを投稿しよう!