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 ざあざあと海が鳴いている。  こっちにおいでと呼んでいる。  静かな浜辺には私一人だけ。  目の前には広くて大きな海。 「…………」  素足が踏む砂が冷たい。  温い潮風が全身を撫でる。  長く伸ばした髪が体に絡む。  スカートの裾がはためいた。  でもそんなこと、今は、ちっとも気にならない。  ぱしゃん。と踏んだ海水は、風より冷たい。  打ち寄せる波に両足を浸すと、冷たくて心地良い。    もっと遠くまで行きたい。  この冷たさに、触れたい。    あと少し。  あと少しなら、きっと平気。   
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