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 そして私を座らせて、とても真面目な顔をして口を開く。 「どうしてこんな季節に海になんか入ったの」  今は3月半ば。  真冬ではないけど未だ、春というには寒い。  「…………」  未だ状況を把握できていない私が黙り込んでいると、彼はとても真面目な顔をとても難しそうに歪めた。  そして彼の口が、私の返事の有無を問わずにしゃくしゃくと動く。  何処から来たの。  名前は何、何歳なの。  悩みがあるなら話してみて。  僕で良ければ相談に乗るよ。  まだ若いのに変な気を起しちゃ駄目だ。  そんなことを、私の返事も聞かないまま一方的に喋ってきた。    そこで私はようやく、彼が何か勘違いしていることに気付いた。  
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