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頭を下げるその人を見つめた。
声は少し低い。
髪はくすんだ薄茶色。
笑うと目が可愛い。
背は私より頭二つ分も高い。
ふいに、あの腕の力強さを思い出した。
普段は静かな心臓が、どきんと大きく打つ。
「あの。お名前は、なんていうんですか」
それはほんの少しの、小さな興味だった。
この人のことを知ってみたいと、思ってしまった。
「カイト。君は?」
彼が、カイトさんがそう尋ねた。
「ナナミです」
私は、ナナミは少し笑ってそう答えた。
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