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ここ、天神(あまのがみ)街の中心から少し外れた店『二次元(エデン)』。
その店内では――ピンク色を基調とした可愛らしいイラストが描かれている『ドッキドキ☆幼稚園』と明記されたゲームを手にしている――青年が、何かのアニメのキャラクターであろう着ぐるみに握手を迫られていた。
もちろん青年は快くそれに応じるが、誤ってゲームを持っている手を差し出してしまっている。
その事に気付いた青年は「あれ、僕ったらドジッ娘ちゃんだわ、てへ」と慌ててその手を引っ込め、反対の手を出そうと……。
「……ん?」
何かがおかしい――と気付いたが、時既に遅し、持っていたはずの『ドッキドキ☆幼稚園』が上下真っ二つに切り裂かれ、その上部が床に落ちていた。
「……あれ? 僕ったらドジッ娘ちゃん、だわ? うっかりゲームを落としちゃうなんて、て……てへ?」
先ほどとほとんど同じ台詞を口にするが、どの言葉の語尾にも疑問符が付いてしまう。
床に落ちたゲームと着ぐるみを交互に見比べる。
あの可愛らしい装飾は、真っ二つになったことで可愛らしさも半減。
そして着ぐるみはというと――怪獣か何かの設定の為か――手先が大型のハサミとなっており、握手を求めていたその手を、音を立てながら閉じたり開いたりしている。
「あれぇ~っ?」
間延びた声とは裏腹に、青年は猛ダッシュで『二次元』から飛び出していた。
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