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さすがにあの怪物と言えど、所詮はアニメの産物。
二次元の生物がその住むべき楽園(エデン)――あ、店の名前と掛けて上手いこと言ったかも――の外に来れる筈がない。
やーい、やーい。
――なんて強がってみる青年だが、腰は完全に抜けて、膝も腹筋崩壊と言わんばかりに笑っている。
もし、この状態であの怪物があらわれたら……いやいやっ、そんな事あるはずがない、ダイジョーブ。
――きゅぴ☆ きゅぴ☆ きゅぴ☆
「……あ、悪魔たん」
不意に響いた足音に釣られ、首だけ後ろに振り向く青年。
決して幼女の履くゴムサンダルが摺れるような音に釣られた訳ではない、決して。
しかし、青年の期待――足音の主が幼女という期待は一切してない――は外れてしまい、案の定そこに居たのは、例の怪物。
その姿を見た青年は某動画サイトの見すぎな為、思わず「悪魔たん」と口にしてしまった。
――あらやだ、フラグ展開余裕だったのね。
にしても、このままじゃマズイ。
青年は身の危険を悟ると同時にズボンのポケットに手を突っ込む。
腰が抜けている所為で〝ある物〟を取り出しにくかったが、なんとかポケットから出すことに成功。
「どうする、僕っ」
最後の切り札である〝ライフカード〟を両手いっぱいに広げる。
しかし、それらに記されていたのは、どれも『整理券』という単語と二桁台の異なる番号であった。
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