プロローグⅠ 血の池、恐怖

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若干の感傷に浸りながら、とある暗い路地裏を懐中電灯で照らした。 そこは“例の事件”の事件現場だった。地面には被害者の血の池痕の固まりが広がっている。 田嶋はそれだけでも息を呑んだ。 死体はとっくに回収されているのだが、その巨大な、膨大な、広大な血痕が、多くを物語っているように思える。 田嶋の脳は、悪いことにこのタイミングで“あるセリフ”を思い出してしまった。 犯人は必ず現場に戻ってくる。 見習い時代に愛読していた推理小説に登場する警察官の放ったセリフだった。 --ま、まさかそんなこと…あるはずない…あるわけがない!! 田嶋は自分にそう何度も言い聞かせ、巨大すぎる血痕に背を向け、その場を後にした。 灯りのなくなった現場に残ったのは 『ニンゲン、チ、ダーイスキ…ダヨ?』 怪しい景と影だった
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