プロローグⅠ 血の池、恐怖

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午前0時44分。 田嶋は、この時間のパトロールを一通り終わらせ、派出所への帰路に着いていた。 --あ゙ー冷えた麦茶が飲みたい。 夏の夜特有のむしむしとした暑さによって、田嶋の喉の渇ききっていた。 道中、自販機で買おうとしたのだが、ものの見事に財布を自分の机に置いてきてしまったのである。 暑さと苛々も混じり、ただ余計に喉を渇かせる結果に終わってしまい、ついつい自販の隣にあったゴミ箱を蹴り倒してしまった。 幸い、蓋が付いていた上に、しっかりとしていたので、中身をぶちまけるといった事はなかったものの、羞恥心と多少の罪悪感からか凄まじいスピードでゴミ箱を元に戻し、そそくさとその場を後にしたのだ。 それらの事があったが、やっと仕事から解放されたのと少々の達成感のお陰で、田嶋の気分はそう悪いものでもなかった。 「ふんふん、ふーん。」 最近はまっている曲を鼻歌で歌いながら、田嶋は夜道を歩いていく。 そして、“あの場所”の近くに差し掛かった所で田嶋は足を一旦止めた。
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