それは、従順たる巫女

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「――ナギ」 少年が少女の名前を呼ぶと、少女の唇がぱくぱくと動く。 その動きに反応したかのように少女の周りには煌めく鎖が現れた。 「姫巫女として、ボクの側にいる事を対価とする」 高い音をたてながら、一つまた一つと煌めく鎖は割れて形を失い煌めきとなって消えていく。 少女は、無表情で鎖が消えていくのをじっと待っていた。 「これからナギは、この鳥かごから一歩も出れない。ボクと一生過ごすんだ」 少年は微笑んでいるが、言っていることは皮肉ばかりで少女を挑発している意図は痛いほどに感じられた。 「皇帝に伺っています。宮様」 頭を下げて、行儀に則った挨拶をする少女。 まるで挑発など、無視だ。 「――ボクに近寄らないでね、巫女」 感情が一切こめられない声で少年・宮は、巫女・ナギに言った。 抜き出しのままだった刀身を鞘へとしまい、宮は部屋の奥へと消えた。 その後ろ姿を顔を上げることなくナギは見送った。 (私が至らないばかりに……) ――申し訳ありません、宮様 ナギはそう胸のうちで謝った。
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