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背後にナギの気配を感じるが宮は振り返らずに、蝋燭の火を消しながら、無駄に長い飾りだらけの廊下を荒々しく早足で歩く。
宮が指を鳴らすと襖が独りに左右に開き、宮が襖を越えると、静かに閉じた。
和風に統一され、豪華と華やかさがある部屋。
壁一面には装飾などがされているが、古物の書物や服や貢ぎ物が積み上げられて山となり、一部しか見ることが出来ない。
琥珀色の双眸が煌めき、ソファーの上に乗っていた衣類や書物が、浮かんで書物の山、衣類の山へと積み上げた。
その小柄な身体を宮はソファーへと沈めた。
「さいあく………」
宮以外の誰もいない部屋で静かに呟いた声が大きく聞こえた。
そして、あの従順たるナギの姿が再び浮かんだ。
――間違いだった……?
あの日から自問自答を繰り返している。
その時に宮は、怒りに似た後悔を抱く。
そして、思い出していた。
あの少女を感じとった日を。
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