それは、王家の罪

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――あの日か…………。 眠気が残る思考は静かに先程まで見ていた夢を呟く。 視界には、逆さまに入ったあの日と同じ箱とそれから聞こえる同じ機械音とランプ。 逆さまの理由は、ベッドから眺めているからだ。 時間から切り取られたように、何ら変わりはなかった。 六歳の少女から十二年が過ぎ、姫から姫君になり、もうすぐ十八になって後継者となる少女。 そして、仕事のタイムリミットが迫っていた。 「――本当にまずい。でもぉおおおーーっ!!開かないのよっ」 ベッドに横になっていた上半身を勢いよく起こす。 柔らかく波をうつ銀髪は、姫君の証である二対の青と白の一対の髪飾りによって、頭部に纏めている。 右目は金色、左目は鋼色という人の目を引く色合い。 左右のいかなる色なのは、祖父の血が濃い為だと聞かされた。 金色は、王家だけに現れる色で証でもある。 顔立ちは、女の丸みよりも男の凛々しさが出てしまっている為、中性的だ。 汚れても良いよにつなぎを着ていた。 腰には、解体に使う専門の工具一式が収納された革製のベルト。 そして、ベッドと少女の周りを円を描いて床に散らばる分厚い本や資料。 それが目に入って、昨日は箱の元となる機械の設計図と電子回路の図面らしいが見つかった。 虫食いにあっていたり、重要ヶ所が消されていたりと自然なもの時の流れと工作によって本来の役目を失いただの紙きれとなっいた。 (さすが、私の先祖ねぇー。資料も隠滅されるし………) 希望が見えたかと思えばすぐに消えた為、今までの疲れがどっと波のように押し寄せ、寝てしまった。 「だあ――もっ!!腹がたつわねっ!!王家の罪だか、何だが知らないけど!!」 ベッドから降りて、ずんずんと箱へと近づく。 「――こんな箱邪魔じゃないっ!!」 がんっと怒り任せで箱に蹴りを入れると、その音が響く。 そして、ガタガタっと箱が激しく揺れキュ、キューンと金属が擦れるような音とランプの光が不規則な点滅の連鎖を次々と繰り返す。 「なに?なに!?なに!!??」 そして、点滅が一定のリズムに安定すると怪しげな文字と映像が立体映像で浮かび上がった。 放置されていた為、映像と文字には歪みや痛みと傷が出る。 「――神封じの箱………」 映像がある設計図と電子回路の図面を映し、無意識のうちに読み上げていた。 神って、あの獣神よね……。
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