思い出

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僕には母親が居ない。 二歳の頃、雪深い二月にこたつで冷たくなっていたという。 未だに、「お母さん幾つ?」と聞かれ、「小さい頃に死んだんです・・・・」と、切ない過去を暴露する度、悲しくなってしまう。 その後に「ゴメン、変な事聞いちゃって」という一連の流れが必ず待っている。 小さい頃なんか、本当に最悪でした。 クラスでも必ず何人かいるんです、片親の子って。 でも、傷の舐め合いは絶対しないんです。 特に、僕なんか死別ですから、同情されても小さい頃は上手く笑えないというか・・・・。 だから、何と無く隠すんですね。 小学生位迄は何と無くそれで通りますから。 片親の子供は(お互い頑張ろうぜ)的な無言の連帯感が有りましたね。 僕は、両親がピンピンしてる奴が憎くて、憎くて仕方無かった。 でも、そういう子が普通で、片親が珍しい訳なんだけど。 きっと見えてる景色が違うんですよね。 でも、悟られない様に常に背伸びしてる。 だから、いつも疲れてた気がするんですね。 産んでくれた親が居てくれるのは、当たり前に思っている事でしょ? でも、居ないというのは、本当に辛かったですよ。
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