1.最悪の目覚め

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 それはすぐに思い出すことが出来た。そう、秋也は旅行に来ていた。高校の修学旅行で皆と沖縄県に来ていたのだ。  昼間は観光地を巡り、夜はホテルで食事を取り、綺麗だけど小さなユニットバスで一日の疲れを流し、部屋に仲の良い友達を集め夜遅くまでトランプをして盛り上がる。  今でも耳に残っている皆の笑い声。 ――――おい、お前カエデさんにはいつ告白するんだ? うるせーよ!黙ってろ――――  それは最高に面白い時間だった。ついさっきのことのようにしか思えない。  それを打ち崩すのは、目の前の非現実的な光景。 「――そうか、これは夢だ。夢なんだ」  自分に言い聞かせ、ほっとする。 「夢なんかじゃねーぞ、人間」 「……は?」  振り返ると、大きな猿が秋也を見ていた。
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