2人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
それはすぐに思い出すことが出来た。そう、秋也は旅行に来ていた。高校の修学旅行で皆と沖縄県に来ていたのだ。
昼間は観光地を巡り、夜はホテルで食事を取り、綺麗だけど小さなユニットバスで一日の疲れを流し、部屋に仲の良い友達を集め夜遅くまでトランプをして盛り上がる。
今でも耳に残っている皆の笑い声。
――――おい、お前カエデさんにはいつ告白するんだ?
うるせーよ!黙ってろ――――
それは最高に面白い時間だった。ついさっきのことのようにしか思えない。
それを打ち崩すのは、目の前の非現実的な光景。
「――そうか、これは夢だ。夢なんだ」
自分に言い聞かせ、ほっとする。
「夢なんかじゃねーぞ、人間」
「……は?」
振り返ると、大きな猿が秋也を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!