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秋也はパニックに陥りながらも猿が顎で示した右下の方向に目をやる。
近くの砂の上に、小さな金属の塊が転がってるのを見つけた。
……銃弾。
「次騒いだらソレを脳天にぶち込んだるからな」
秋也は自分の身体に目を向ける。
どこからも血は出ていない。
つまり、今のは当たっていなかったということか。
「お前は今から捕虜じゃ。ワシと一緒に来い。逃げようとしたら撃つ」
そう言いながら猿は銃を仕舞い(よく見ると腹にホルスターのような物が着いていた)、秋也に背を向けて歩き始める。
この暑い真夏のビーチの中、いつのまにか秋也は冷や汗でビッショリだった。
何が何だか訳が解らない。
秋也はよろけながらも何とか立ち上がり、猿の後を追いかけた。
天野秋也の物語が、今始まる。
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