はるか

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以前にも訪れた、殺風景な部屋。 その奥のベッドに、遥は今、静かに押し倒される。 ふっと伸の息がかかり、間もなく唇が触れた。 穏やかなキスだった。 こういうキスを遥は知っていた。 一喜がセックスの前に必ずくれた、遥にとってはおまけの様なキスだったが。 今だから分かる。 一喜のセックスが暖かかったのは一重に愛の成すものだったのだろう。 伸との時間に不謹慎だと思いつつも、ぼんやりそう思った。 優しかったキスは、次第に深く、遥を溶かしていった。
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