ピアスになりたい

はるか

身体中解きほぐされて、
遥の中に、伸が押し入ってくる感覚。

どうしてなのだろう。
また涙が出る。

「…痛い？」

そう尋ねる伸の表情にいつものような余裕はない。
ごくりと一度喉をならし、息を整える。

今までと何も変わらない行為なのに。

遥が伸を全身で感じているように伸も、遥を感じている。

ただそれだけで、なぜこんなにも胸がいっぱいなんだろう。

「痛くない、痛くないよ…」

手の甲で両目をぬぐいながら、涙声で言う。

汗ばんだ背中に腕を回すと、伸が遥の奥で果てるのを感じた。

遥はそのまま伸の頭を抱き締める。

それから、
からっぽの右耳に唇を寄せた。

伸にこれ以上、こんな傷穴が増えないよう祈りながら。