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「しばらくはここでお世話になるよ。もちろん、隊士としてね。」
「やっぱり。男装してると思ったら、そういう魂胆だったのね……。」
「うん。あ、私の名前は“藍”でよろしく。……他の人には、私達が姉妹……あ、いや、姉弟だってこと、言うべきだよね。」
「言うも何も、同じ顔に同じ苗字なら、姉弟ってわかるわよ。沖田さんも気づいていたみたいだし……。」
そこでやっと藍は理解した。
沖田や土方、原田が藍の顔を見て反応するのは、朱音と全く同じ顔をした者が現れたからだと。
朱音と藍花はただの姉妹ではない。
同じ年、同じ日に同じ母から生まれた、双子なのだ。
黙っていればどちらが朱音でどちらが藍花なのかわからないが、性格が真逆なので、口を開けば一発で見分けがつく。
「でも藍花……。」
「“藍”!」
朱音の間違いを強く直す。
少し戸惑いながらも、藍と言い直した。
「……藍。男装だってばれたら、命の保障はないわよ。」
「うん。それなら徹底的に男に成り切るべきだよね。」
それから藍は、いくつか決め事を作った。
・“お姉ちゃん”ではなく“姉上”と呼ぶ。
・男のように話す。
・ボロを出さないために極力、隊内では朱音と関わらない。
「うわぁ……できるかな。」
「やるのよ……。やらなきゃ、藍の命の保障はないもの。」
藍は力強く頷いた。
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