320人が本棚に入れています
本棚に追加
朱音の部屋を出ると、藍はまず沖田を探しに出かけた。
沖田は庭で、原田とあと一人、誰かと談笑しているようだった。
「あの、沖田さん。」
「あぁ、手当ては終わったようですね。」
「はい。」
「やっぱそっくりだよな! ほら見ろよ、平助。」
平助と聞き、藍は藤堂平助だと判断した。
「本当だな。」
藤堂は藍の顔をじっと見たあと、藍の後ろをじっと見つめた。
視線を追ってみたが、何もない。
「何か……?」
「憑いてるものは、全然違うんだ。」
「は?」
わけのわからない言葉に、ぽかんとする。
藤堂は「いや、こっちの話。」とはぐらかした。
「それで、説明してもらえますか? 藍と朱音さんの関係を。」
「……はい。わた……あ、いや、俺と姉上は双子の姉弟です。」
「双子か、なるほどな!」
原田は納得したのか、何度も頷く。
「双子は初めて見ましたよ。こんなにそっくりなんですね。」
「朱音がもう一人いるみてぇだな。」
「変な気起こすなよ、左之。」
「わぁってるよ!」
三人が笑う中、藍だけが苦笑いをしていた。
「では、藍。行きましょうか。」
「はっ、はい! え、どこに?」
藍の返答に、沖田はクスクス笑い、答えた。
「土方さんのところですよ。手当ても終わったことですし、いろいろ決めなければならないことがありますからね。」
決めなければならないこと?
何だろうと思いつつも、沖田と共に副長室に向かう。
沖田曰く「そろそろ一服してるだろう。」とのことだ。
そして沖田と言う通り、土方は部屋で煙管を吹かしていた。
「来たか。まぁ、座れ。」
沖田が座るのを見て、藍も沖田の隣で正座した。
最初のコメントを投稿しよう!