物語の始まり

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朱音の部屋を出ると、藍はまず沖田を探しに出かけた。 沖田は庭で、原田とあと一人、誰かと談笑しているようだった。 「あの、沖田さん。」 「あぁ、手当ては終わったようですね。」 「はい。」 「やっぱそっくりだよな! ほら見ろよ、平助。」 平助と聞き、藍は藤堂平助だと判断した。 「本当だな。」 藤堂は藍の顔をじっと見たあと、藍の後ろをじっと見つめた。 視線を追ってみたが、何もない。 「何か……?」 「憑いてるものは、全然違うんだ。」 「は?」 わけのわからない言葉に、ぽかんとする。 藤堂は「いや、こっちの話。」とはぐらかした。 「それで、説明してもらえますか? 藍と朱音さんの関係を。」 「……はい。わた……あ、いや、俺と姉上は双子の姉弟です。」 「双子か、なるほどな!」 原田は納得したのか、何度も頷く。 「双子は初めて見ましたよ。こんなにそっくりなんですね。」 「朱音がもう一人いるみてぇだな。」 「変な気起こすなよ、左之。」 「わぁってるよ!」 三人が笑う中、藍だけが苦笑いをしていた。 「では、藍。行きましょうか。」 「はっ、はい! え、どこに?」 藍の返答に、沖田はクスクス笑い、答えた。 「土方さんのところですよ。手当ても終わったことですし、いろいろ決めなければならないことがありますからね。」 決めなければならないこと? 何だろうと思いつつも、沖田と共に副長室に向かう。 沖田曰く「そろそろ一服してるだろう。」とのことだ。 そして沖田と言う通り、土方は部屋で煙管を吹かしていた。 「来たか。まぁ、座れ。」 沖田が座るのを見て、藍も沖田の隣で正座した。
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