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「で、お前は朱音の弟か何かか?」
「はい、弟です。」
「双子らしいですよ。」
「ほぉ……。」
じろじろ藍を見たあと、ふぅっと煙を吐いた。
「刀使いはまだまだだが、身の軽さは目を見張るものがあるみてぇだな。」
「あ、ありがとうございます。」
土方は目を閉じ、しばらく何かを思案したあと、口を開いた。
「二番隊にするか……。」
「……はい?」
「お前の所属隊だ。永倉って奴が隊長だ。挨拶してこい。」
「は、はいっ!」
藍は一礼すると、部屋を出た。
「監察にするかと思いました。」
沖田が土方に言う。
土方はククッと笑い、答えた。
「悩んだんだがな……。刀の使い方を覚えりゃあ、そこらの平隊士より強くなる。それを見込んで、二番隊にした。」
「それなら、一番隊にしてくれればよかったのに。」
ムスッとして言う沖田。
「馬鹿。お前のやり方は荒いんだよ。あんなやり方で通るのは、お前くらいだ。」
「でも、永倉さんは賭けですよね。ふふ。」
そう言うと、沖田は腰をあげた。
「では、巡回行ってきます。あ、豊玉さん隠すなら、もっと別の所にした方がいいですよ。」
言い終わるや否や、沖田は部屋を飛び出た。
「総司ぃ!!! てめぇ、見やがったな!!!」
叫んでみるものの、当然沖田が戻ってくるはずもなく、土方は大きくため息をつき、机の下から豊玉発句集を取り出した。
「次はどこに隠すかな……。」
頭を掻きながら、そう呟いた。
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