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「……ビルに置き去りにされたマネキンが魂でも持ったみたいね……
まさか人間の肉や心臓を喰えば、人間になれるとでも考えたのかな?」
闇から聞こえる女の子の声。
やがて闇からその姿が映し出される。
「あ、あんたは……?」
少女は息も絶え絶えの男を睨みつけ。
「あんたも何もしてないとかよく言うわ……
あたしへ何をしようとしたのかしら?あれ十分トラウマになってますから」
「俺は何もしてねぇよぉ、未遂だったから勘弁してくれよ」
少女は冷めた目で男を見る。
フゥっとため息をつく。
「自業自得……とはいえ他の数人は残念だったわね……あんたは運がいい」
少女はマネキンに食い荒らされた男の仲間達の死体を見ていた。
みな同じように心臓がえぐり取られていたが。
「……マネキン……
あなたが最近の連続失踪事件の犯人ね?」
目のついていないマネキンの顔が少女を睨みつける、口のついていない顔がギギギと鈍い音をたてながら首を曲げ、マネキンの化け物が喋り出す。
「……ナニガワルイ?
ワタシハ、ワルイヤツダケヲクッテイルダケダ、ワタシニカンシャシロ!オマエモオソワレタダロウ」
マネキンの口がないせいか、その声は酷く籠もっていて聞き取りづらい。
それ以上に少女は驚いていた。
「驚いた、ここまで自我が発達してるなんて……でも、これ以上はあんたのためにならない、あんたの魂を救うためにも浄化してあげる」
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