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機体が安定ししばらくして京都上空にさしかかった頃。
突如として、視界が真っ暗に閉ざされてしまう。
ほんの数分前までは素晴らしい快晴であったのが嘘に思えてしまうほどに。
視界を遮るほどに広がったどす黒い雲の塊があたりを包み込んでしまっている。
「おかしいな……こんな高度まで積乱雲があるなんて……、というよりこんな予報はなかったはずだが」
今機体の高度は10000メートル。
積乱雲の高度はせいぜい1000メートル。
しかし機体の前方にはどす黒い漆黒にもにた雲が広がっている。
「……まずいな……あれに突っ込むのは……」
ベテランの機長にも緊張が走る。
「君、管制塔には連絡したのか?」
機長は緊急時に備えて副機長に管制塔へ連絡するように促していたが、
明らかに副機長の様子がおかしかった。
「……機長、繋がらないんです……」
「バカな、かしてみろ!」
機長が通信機を扱うが副機長と同じく反応がない。
「……そんな……ノイズすら聞こえないだと?」
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