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そんな夜の道を歩く一人の少女。
コートこそ羽織ってはいるが、下は赤いミニスカートに黒いタイツを履いている。
少しかがめば見えそうである。
そんな格好でこんな薄暗い道を歩けば、男達の格好の餌食になってしまいそうだが、少女は何を考えているのか、
その歩みはゆっくりとしている。
しばらく歩き、ふと足を止める。
チカチカと点滅を繰り返す街灯の下で立ち止まる。
薄暗い街灯の下からでも彼女の髪が燃えるような赤く腰くらいまで伸びた長い髪であることがわかる
少女が周りを見渡すと、ガラの悪い男達に囲まれていることに気づく。
数はかなり多いようだ。
男たちはニヤニヤと少女を舐め回すような視線を向けている。
少女はゆっくりと男たちを見回している。
お世辞にも清潔とは言えない身なりをしている男たち、このような通りを歩けばこんな者たちが群がってくる。また、彼女のような餌が迷いこめばなおさらだろうが彼女はこうなるように歩いていたのだろうか?
「……お嬢さん、見た感じ高校生だね、一人でこんな所歩いちゃ危ないよ?
お兄さん達とホテルで泊まらないか?」
「髪なんか真っ赤に染めてんだから、大方君もそのつもりで歩いていたんだろ?」
ニヤニヤした、茶色く黄ばんだ歯を見せ、タバコに日をつけながら、少女を舐め回すように見つめ
男達から卑猥な言葉が降りかかる。
普通の女性ならそれだけでも卒倒しそうなものである。
フゥっと深いため息のあと
少女がその小さな口を開いた。
「……あんた達じゃない、消えろ」
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