第一話

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とか言って、ずっと部屋に引きこもるのは身体に悪い。 今の恰好からして、多分外には行けると思う。 カチャリと恐る恐る部屋の鍵を開ける。 人気がないのを確認し、音をたてずに廊下を歩いた。 俺の家は、父親がいない。 いるのは母親と妹。 けど、妹は病気がちで病院に入院している。 生れつき心臓が弱く、少しでも激しい運動をするとすぐに倒れてしまう。 昔から家族を心配させていた存在だった。 はっきり言って、俺は母親が嫌いだった。 初めから女しか産む予定がなかったらしく、俺には興味はなかった。 だから妹ばかり愛情を注いでいた。 別に俺はそれでもよかった。 "あの日"がくるまえまでは。 久しぶりの外は少し肌寒かった。 もうすぐで夏なのに。 多分、曇っているせいだと思う。 俺は車庫からチャリを出すと、またがり友人のもとへと走り出した。    
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