始まりと出会い

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「それじゃあ、みんな揃ったし乾杯しようか。」 橘君は自分の手元にあったグラスを持ち、そう切り出した。 「そうしましょう。」 それに続くように咲斗さんもグラスを持つ。 「「「カンパーイ」」」 乾杯とかするほどの歓迎会なんてなんか恥ずかしいな…… 私は自分の目の前に並ぶ料理を慣れないフォークとナイフを使って、恐る恐る口に運んだ。 お、美味しすぎる… そう言えば、なんでこの家にはお手伝いさんなんかいるんだろうか? ここにいる誰かがお金持ちとか? そんな事を考えているとみんなの自己紹介が始まった。 「俺は橘 涙で16歳。すぐそこの櫻華学園高等部の2年だよ。よろしくね。」 「僕は綾瀬川 咲斗。19歳で大学に通ってます。勉強でわからないとこは教えてあげますから遠慮せずに言ってください。」 「成瀬 慶介だ。今年から櫻華学園高等部1年だ…」 「私は櫻 舞華だ。今年櫻華学園高等部3年だ。」 4人の自己紹介が終わると、一斉に私に視線が集中する。 そのせいでさっきまで普通にしていられたのに、一気に緊張が襲う。 「な、なな、七瀬 遥です。不慣れで頼りないかもですけどよろしくお願いします!」 一通り自己紹介も終わり、自然に雑談へと移っていった。 「あの……ここってなんでお手伝いさんなんかいるの?」 私はさっきから気になっている事を、今1番聞きやすい橘君へ質問してみた。 「あぁ、ここはね……舞華の家というか、部屋みたいなもんでね。」 「舞華さんの!!?」 「そう。あいつの家超金持ちなんだよね、だから自分の部屋が家なんだよ。」 す、すごすぎる… 部屋が家なんて… 私には想像も出来ないような家柄なんだろうなぁ…… .
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