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たかが家事とタカをくくり働きだした二人だったが何しろ我が儘お嬢様の館、そう簡単な話ではなかった。
そうでなくても、洋館の家事など慣れないこと。
初めて持つモップでのムラのある拭き掃除。
微妙に指紋がついた、拭いたはずの窓ガラス。
遅くて不味い紅茶。
「ああもう!咲夜どころか妖精メイドにすら劣るじゃない!」
「んならパチュリーに治して貰えりゃ早いだろ!」
「私達や門番ならともかく、あんな大ケガむやみに魔法で治したら寿命に響くの。咲夜の代わりなんて妖怪を入れても滅多にいないんだから極力縮めないようにしてるの。」
勝手なこと言わないで、とレミリアは苛立つ。
そんな具合で三日。たった三日なのに、もう二人は弱音を吐き続けていた。
しかしサボる訳にはいかない。
霊夢が掃除をしているその時だった。
「も~、なんでこんなとこで働いてんの霊夢…
神社ほっとく巫女がどこにいるかね」
呂律が回っていない、抜けた感じの声。
「す、萃香~!!」
霊夢は萃香に抱きついた。思わぬ助っ人が来たものだ。藁にもすがる思いで事情を説明する。
「なるほど、で、私もそれを手伝えと。」
「お願い!今はあなただけが頼りなの!」
「ん~、霊夢にそこまで言われると断れないね。久々にフランにちょっかい出しに来たつもりなんだけど」
「ってことだから私も働くことにするよ。」
メイド服を着た萃香はレミリアに会っていた。
「別にいいけど…いいの?私遠慮するの苦手よ」
「いいよいいよ。嫌になったら逃げるし」
「約束は守る主義じゃなかった?あなた」
「してない約束は守れないね~」
そう言って踵を返す。
「んじゃ掃除でも手伝ってくるよ」
そう言って部屋を後にした。
変わってここはヴワル図書館。
珍しくまともな客が来ていた。
「魔理沙、紅茶はまだかしら?」
「ハイハイただいま持ってきたぜ…」
そう言って紅茶を三つ机に置く。
パチュリー、小悪魔、そしてアリスの分である。
「ふふ、ありがと魔理沙」
アリスは図書館に本を返すついでに咲夜の御見舞いに来ていた。
「(でも思わぬ棚ぼただわ、魔理沙のメイド姿が見れるなんて!)」
心の中で歓喜の声を上げるアリス。
「でも魔理沙もドジね。弾幕禁止の事を忘れるなんて」
「言わないでくれアリス」
彼女自身が一番身に染みているのだろう。
いつもは強気な分、不憫だった。
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