第十一話 約束

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「どういったご用件でしょうか?」 無事だったレミリアの部屋は、半壊したとは思えないいつもの姿を保っていた。 「咲夜、調子はどう?どこか痛んだりしないかしら?」 「御気遣い感謝します。大丈夫、どこも悪いところはないですよ。」 「そう、なら紅茶を頼める?」 「お安いご用です」 背中に「ありがとう」という言葉を投げかけられ、思わず笑みを溢した咲夜はキッチンに足を進めた。 最近一人で歩いたりするとロクな事が起きないのだが、まあ何度もは続かないだろう。珍しくこの予想は当たった。 テキパキとの紅茶を淹れ終わると、これまた手早く運んでいく。 「お待たせしました。」 「あまり待たないけどね」 時間を止めていないとはいえ、片手しか使えなかったときや他のメイドが淹れた時と比べると格段に早い。 「…お嬢様?どうかされました?」 紅茶を飲もうとカップを口に近づけたが、なにか考え事をするような顔になってカップをテーブルに戻す。 「咲夜、私最近退屈で退屈で仕方ないの。」 「そうでしょうね。」 退屈を嫌うレミリアはしょっちゅう暇を持て余している。 館が半壊して修復作業中、働かないお嬢様はなおさら暇であることは重々承知している。 「だからパチェに本借りて読んでるの。」 「どんな本なのですか?」 「恋のお話よ。それで気になるところがあってね。」 言いながらまだ冷めていない紅茶を咲夜に差し出した。 咲夜は首をかしげる。 レミリアは咲夜の顔を見ながら続けた。 「この紅茶…咲夜が飲ませてちょうだい。口移しで」 「…………はい?」 一瞬言われたことが理解できなかった。 もう一度聞く。 「聞いてなかった?口移しで、紅茶を飲ませなさい。」 「は…え?」 みるみる赤く染まっていく咲夜が見ていて面白いらしい。クスクスとレミリアは笑った。
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