第二話 紅魔館のお仕事

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一日三回の食事作りに洗濯や掃除はもちろん、図書館の整理の手伝いに家計簿の管理、風呂に入る手伝い。さらにはパチュリーの実験の手伝い(実験台)やフランの家庭教師、紅茶やおやつの準備まである。 「こんなにあるのかよ!?こんなの無理だぜ、どうやっても一日のほとんど使っちまう!」 一つに一時間かけるとすると、二十時間はかかる。 「あら、咲夜は毎日そうよ。仮眠を二時間取って、休憩とか食事、お風呂の時間以外は全部働いてる。」 「それを私達もやれって言うの!?」 信じられないと言わんばかりの霊夢。 「つか、咲夜は時間止めてやってんだろ?」 「残念、ハズレ。時を止めてる間は咲夜は止まってないということは只でさえ短い寿命を削るってこと。それを禁止しないと思う?いいから働きなさい。言うでしょ?働かざる者食うべからずって」 それはお前もだろ、などと反論したかったが、下手に刺激してレミリアの機嫌を損ねようものなら、どうなるかわかったものではない。 「あ、そうだ!二人とも働くんでしょ?だったら咲夜みたいにメイド服着ないと!」 フランの提案は二人にとってはまさに余計なことだったのだろう。 しかし逆らうわけにはいかない、逆らえない。相手はこんなに無邪気な少女だが、すべてを破壊する程度の力を持っているのだ。この吸血鬼姉妹に逆らえないのが、この上無く悔しかった。 悔しかっただけで、何も出来ずしぶしぶメイド服に着替える。 後ろでパチュリーが魔理沙のメイド服姿に喜んでいたのは小悪魔しか知らない。 「中国、仕事に戻りなさい。咲夜が心配なのはわかるけど、それを理由にサボってると咲夜の面目が立たないわ」 「は、はい…」 物凄く残念そうな表情で咲夜のそばを離れる美鈴。 そして、新人メイドとしての霊夢と魔理沙の地獄、もとい日々が始まった。
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