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「なーんか、良い雰囲気だねぇ」
「さすがメイ・・・。抜かりないわ・・・」
「あの剣人君に初カノですか」
仲間内はひそひそと・・・それこそ自分の恋人作りはそっちの気だ。
「初カノ!?剣人君ってまさか…」
「あ、童貞じゃないからそこは安心して。でも本当に女っ気無かったからなぁ、剣人…」
「ミスに目ぇ付けるとは…なかなか侮れないな」
二人の間には防音壁でも付いているのか、周りの雑音なんて耳にも止まってない様子。
楽しい時の流れは速いものだ。すっかり食べ放題の時間が終わってしまった。
当然、最初の約束通り剣人は料金を支払わない、が、そんな訳には矢張り行かなかった。
仕方なく料金の半分はせめてもの情けと幹事の悠に手渡す。
「この後どうしよっか?」
「あ、ねぇねぇ、あたしボーリング行きたーいw」
「私も行く行く」
「剣人君は?ね、一緒に行こうよ」
流石にこれには剣人も首を横に振るしかない。
すみません、と一言だけ言って後は仲間内に任せる事に。
「メイは?行くでしょ?」
奏が明に訊ねると、なんと明も首を横に振った。
「ごめんなさい、今日はちょっと…」
「えー!メイちゃん帰っちゃうのォ!?」
「あまり遅くなると兄が心配するから…」
これで失礼します、と明は頭を下げた。
「あ、剣人、タクシーどうする?呼ぶ?」
「いや。駅まで歩く。少し酔い覚ましてから帰る」
「オッケー。じゃあメイちゃん駅まで送ってってやれよ。夜道は女の子の敵だぜ」
くるっと振り向けば何と友人達が良い笑顔で親指を立てている。
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