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何を勘違いしてるのか、そんな優しさ、俺にはいらないと剣人は軽い眩暈を覚えながら思った。
「あの、私一人で帰れますから、お気遣いなさらず…」
「なーに言ってるの。女の子一人なんて危ないよ?」
「そうそう。男はいつだって狼なんだからさ」
「剣人なら剣道有段者だし、変態に遭っても安全無事に帰れるって」
「番犬だと思ってさ」
「俺は犬か」
「猫ってイメージよりは」
「「「「「犬だよなー」」」」」
と全員一致の見解。
送って行けよと言われて嫌だ、と答える程剣人も鬼じゃない。
ましてや相手が可愛い女性ならなおさらだ。
女の子はどんな事があろうと傷付けちゃだめよ。と母に教えられた大頭家の教訓もある。
「…行きましょうか」
阿呆な友人達の思惑に乗ってやるのは面白くないが、女性は大事にしなければと剣人は歩き出した。
その後ろを一歩遅れて明が歩いて行くのを友人達は見届ける。
「…あのまま2人で二次会に1票」
「ホテルに直行に1票」
「「何もせずに帰るに2票」」
「何もせずの方が確率高いなぁ、オイ…」
小さくなって行く二人の背中を見届けながらの会話である。
自分の知らない処で勝手な妄想を抱かれながら、二人は駅に向かって行ったのだった。
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