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「ねー。」の部分は夫婦ハモっての発言だった。
両親の馴れ初めの話を、何故俺はこんな朝早く(5時半)、しかも食卓にて聞かなければならないのかと頭を痛めたのはこの家の次男に生まれた大頭剣人(23歳大学院1年生)。
「剣人も早くいい人が見つかれば良いわねぇ」
「余計なお世話ですお母さん」
「あら可愛くない」
「・・・可愛くなくて結構。俺、男ですから」
「剣人は母さんに似て美形だからな。きっと良いお嫁さんが来てくれるよ」
うんうん、と父親(大頭武道・46歳・IT企業サラリーマン)が満足気に頷いた。
それを剣人は「俺にとってはどうでも良い事です」と受け流す。
「女性関係は兄さんに任せれば良い。あの人ならきっと可愛らしい女性を見つけてきますよ」
働き者の母が洗濯しアイロン掛けをしてくれた真っ白の胴着に着替えて剣人はその場を去ったのだった。
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