Song of First

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2001年春―。 一人の若者が高校を卒業。 彼の名前は【霞 静流】。 彼は高校時代、決して優秀と言える訳ではなく、どちらかと言えば、教師や同級生達からは【問題児】として扱われる事が多かった。 そんな彼にも、唯一夢中になれ、そして、誰にも負けないと自負していた物があった。 彼を唯一虜にした物…。 それは…、 【音楽】 だった。 彼は、音楽と向き合っている時だけは、嫌な事も忘れられ、時間や食事も忘れる程に熱中出来た。 それに加え、類稀な音楽の資質をも持っていた。 特に、歌唱力に関しては、音楽の教師でさえも唸らせる程の実力だった。 彼は、中学時代の恩師から、歌う事に対しての優れた能力を見抜かれ、高校入学と同時に、地道に仲間を集め、バンドを結成した。 そして、音楽にのめり込んで行くに従って、彼の固定概念の中にある、 【ロックなバンドマンのイメージ】 を追求して行くに従い、ビジュアルも日増しに派手な物へと変化して行った。 両耳はピアスだらけ、髪はやや長めな金髪であったり、茶髪であったり…。 服装に関しても、個人の好みも相まって、モノクロ系の物を着用していた。 そんな彼の容姿に反感を持つ者は少なくなく、教師や上級生達からは目を付けられ、同級生達からは、疎まれたり、怯えられたりしていた。 ただ彼は、顔立ちは整っており、どちらかと言うと、女性的な雰囲気も漂わせていた。 そんな彼も、無事、高校を卒業出来た訳だが…。 高校時代は、まともに勉強するでもなく、就職活動もまともにしていなかった為、当然、現時点では何もない状態である。 唯一有るのは、未だに高校時代のバンドが健在である事。 これだけが、今の彼の支えである事は言うまでもない。 しかし、バンド活動を続けるにも、当然の如く、バンドの運営資金が必要だった。 困り果てた彼は、コンビニで手に入れた求人誌を、真剣な表情で眺めていた。 「うーん…。参ったな…。なんにも考えてなかったからなぁ…」 彼は独り言を呟きながら、携帯電話を片手に求人誌のページをめくった。 「おっ!?ゲーセンかぁ…」 彼の目に飛び込んで来た情報は、ゲームセンターのスタッフ募集の内容だった。 「時給もまぁまぁ良いし、ゲーセン楽しそうだし、電話してみるかな…」 そう、安易な思い付きで携帯電話のダイヤルボタンを押した。
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