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「はぁ・・・終わった・・・あたしの高校生活が・・・」
テスト終了のチャイムと同時に真弓がまるでこの世の終わりと言わんばかりの表情で呟く。
テスト前日に一夜漬けでもしたのだろうか、普段はきっちりセットされている髪も今日はボサボサだ。
「そんな大袈裟な」
真弓とは正反対の爽やか笑顔でやって来たのは数々のテストで常に学年トップを取ってきた強者、沙希だ。
「あんたはいいじゃないの!!勉強できるんだから!!いい、あたしと美雪はバカなの!!学年トップのあんたと一緒にいるのが不思議なくらいバカなの!!」
「おい、なぜ私までお前の仲間に入れる」
美雪が遅れてやって来る。
「何言ってんだ?あたしもあんたも留年宣告組だろ?」
「フッフッフ・・・甘い、甘いぞ真弓!!駅前のケーキ屋の限定プリンよりも甘い。英語の本田の服装検査より甘いぞ。ホラー映画で逃げ切ったと思って・・・」
「もういいよ!!」
テストが終わって緩い雰囲気に包まれている教室に真弓の鋭いツッコミが響き渡る。
「そうか。つまらんな」
「で、あたしの何が甘いって?」
「よくぞ聞いてくれた!!わたくし斎藤美雪は、こちらにいらっしゃる佐倉沙希様に勉強を教えてもらったのだ!!さらに、授業の要点が超分かりやすくまとめられたノートを全て貸してもらったのだよ!!」
今や教室中の視線が三人に集まっていた。
それもそのはず。美雪が突如机の上に仁王立ちになり、真弓を見下し指差してこう言い放ったのだ。
その目は「あなたとは違うんです」と物語っている。
さながらジャングルジムの頂上を占領し、自分が偉いと威張っているガキ大将のように。
真弓は驚きのあまり、目を大きく見開いて、口もポカンと開いて、震えながら声にならない声を出している。
普段は明るく活発でも、注目されるのが苦手な沙希は、みんなの視線を浴びてもじもじおろおろとしていた。
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