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何故か一瞬の静寂が訪れた教室で真弓が口を開く。
「マ、マジかよ・・・なあ、ホントにあいつに勉強教えたのかよ!?」
「ふぇ?あ、うん」
急に話を振られてびっくりしながら沙希が答える。
「おい、美雪!どうしてあたしも誘ってくれなかったんだ!?」
「いやぁ、いつもこの時期の真弓ちゃんはテスト勉強で忙しいだろうから、成績最下位の私が邪魔しちゃ悪いかなと思って~」
真弓の問いかけに、美雪は憎たらしい笑みを浮かべて答えた。
「まあまあ。ほら、今度の追試は手伝ってあげるからさ」
沙希がフォローに入る。
しかし、残念ながらそれは真弓の心の地雷を踏んだだけだった。
「どうせあたしの頭じゃ既に追試決定ですよ・・・」
「あ、いや、そうじゃなくて、その・・・」
「いいよいいよ。自分でも分かってるから・・・なあ、お前の点数少しくれない?大丈夫だって。お前なら多少点数減っても1位だろうからさ・・・」
そんなやり取りが続くなかで、美雪が真剣な表情で割って入る。
「その件だけど、今回は沙希の1位は難しそうよ」
『え?』
沙希と真弓が同時に言う。
「先月転入してきた小林君っているでしょ?」
「ああ、あのいつも暗いやつか」
「そうその子。たまたま席が近かったから色々聞いてみたんだけど、少し前の校外模試の点数が全部沙希より上なの」
そう言ったと同時に休み時間終了のチャイムが鳴り担任が教室に入ってきたので、みんな各々の席に戻っていった。
普段真面目に担任の話を聞く沙希も、今日ばかりは小林の事で頭がいっぱいで担任の話が全く頭に入ってこなかった。
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