獣道

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居酒屋に着いて、扉を空けると二人とも来ていた。もう既に飲んでいる様だ。 明るくしているが、昔の明るさはない。 二人とも何事も無かった様に明るくしているのだ。 「久住!!遅いぞ」 扉の所に立っていた僕に安藤は 声をかけた。 安藤雅也は、少し威圧的に見えるが根は良い奴だ。 リーダー的存在で、気配りも出来る。 「悪い。仕事が片付かなくてな」 そう言いながら みんなのテーブルに近づいた。 「これで揃ったな」安藤が言った後に唯が言った。 「香織以外はね」 加納唯は、香織の親友だった。 香織とは対象的な華やかな雰囲気。 だがしっかりした女性だ。 香織が困っていれば必ず助けている姐御肌だった。 「香織が事故にあって7年たったね。またあの場所に七回忌を兼ねて香織に会いに行かない?」 そう唯が言った後に僕等は静かになった。
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