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パタパタと足音を立てながら、ゆっくりと近付いてくる。
神様に懇願した。勘弁して下さい、と。
しかしそんな願いは届かず、上瀧さんは丁度、俺の背後で足を止めた。
もうむりぽ。俺の中の時が止まった。何も出来やしない。
「きゃっ!?」
「……がっ!?」
次の瞬間。後頭部に重い衝撃が走ったと思ったら、俺の意識が……そこで途絶えた。
***
――目を覚ましたのは、ヤケに心地の良い、保健室のベッドだった。
「…………?」
白い天井をぼんやりと眺める。
体を起こし、自分の置かれてる状況を必死に理解しようと回想した。が、思い当たる節が全く思い出せない。上瀧さんが真後ろに来て焦ったのは覚えてる。しかしどうもその後がうやむやで……
その時、ベッドを囲む様にして広がっていたカーテンがゆっくりと開いた。
「あら、起きてたの」
「あの……先生、俺は何でここに……」
尋ねると、先生は口に手を当てプルプルと震えて見るからに笑いを堪えている。
「あの子の言ってた事は事実らしいわね……あはは」
あの子? 誰だ? 上瀧さんの事か?
「面白いわよ~? 聞きたい?」
「ええ……まあ是非」
と言うか聞かせるべきなんじゃないか。俺被害者ですけど。
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