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チャイムが嫋々と校内に鳴り響く。と同時に、上瀧さんはパタンと本を閉じ、机の中から取り出したのは勉強道具。 そしてふと、上瀧さんがキョロキョロと教室を見渡した。 「…………ん?」 ……今、目が合った……? 気の所為だろうか。うん、上瀧さんが俺を見る筈がない。自意識過剰だったな。うん。勘違いだ。そうに決まってる。 *** 本日の補習は昼まで。帰宅部は当然我が家へ帰る。それが活動だから。 因みに大会は無い。 帰宅準備をしていると、ガラリと勢い良く扉が開いた。俺を見るなり手を振る。 「急ぐんだ翠祐!! 外は暑くて敵わん!!」 俺を翠祐(アキヒロ)と呼ぶこいつは、同じ帰宅部であり、俺の高校からの友人であり、親友になりつつある。 「夏だから暑いのは確定事項だ。帰宅部な分まだ楽だって。つかさ~それよりさ~暑いならさ~。行こうぜ!!」 「お前って話題変えるの下手くそだよなぁ……。また今日も行くのかよ?」 「頼むよ~。涼しいし、暑さ凌ぎには最適だろう!」 ぐいぐいと軽く肩をぶつける俺に、友人こと多花重信朗(タケシゲ ノブアキ)は渋々といった感じで了承してくれた。流石我が友。 俺達が向かう先は勿論――図書館である。
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