デビュー

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「龍哉君。どうだ? 新しい学校の雰囲気は。」 「まぁまぁですね。まだ初日なんで詳しいことは全く分かんないですけど。」 おれは眼鏡を外しカツラをとりながら、タケさんと話をしている。 本名は 竹野内 力(タケノウチチカラ)って言って、年齢は40代と若い。もう何年も会社が抱えるアーティストの運転手をやっているらしい。 もちろん、「Force Season」の運転手もやっていたため、おれはタケさんとそのことについて車の中で色々話をすることが、事務所に行くまでの時間潰しになっている。タケさんもその事は了解済みだ。 「入学式っていうのに、仕事が入ってはね…。せっかくの友達作りのきっかけがなくなったな。」 「よしてくださいよ。友達なんてたくさん作ったら、正体がバレたときに大変じゃないですか。」 「それもそうだな。アイドルっていうのもなかなか大変みたいだし。」 「まぁ、活動していれば実感湧かないですけどね。」 「おっ。言うねぇ。じゃぁ仕事終わったらいつもの行くか?」 「マジですか?行きましょう。」 いつもの…とは、タケさんに紹介された大衆食堂で、仕事終わりに定食を食べに行くことである。 初めて行ったときから味に魅力を感じて、今では常連になるほど通い詰めている。 「よし。事務所に着いたぞ。じゃぁ地下で待ってるから終わったらな。」 「はい。分かりました。ありがとうございました。」 こうしておれは事務所に入り、担当の個室に入った……
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