第一章

6/38
前へ
/107ページ
次へ
両手に物を持ったまま移動する。二人はあたしが背後にいることに気付かずに、未だに言い争っている。 ガンッ!! フライパンで春の頭をお玉で母さんの頭を殴った。 秋は見てない振りを演じ朝食を食べている。 コトハ「ご飯食べるの食べないの?」 頭を抑える二人にあたしは極めて優しい声で聞いた。 春「いってー。フライパンとお玉って差がありすぎるだろ?せめて、フライパンじゃなくてしゃもじにしてくれよ……」 コトハ「るっさい。ご飯食べないなら家の掃除をしていただけませんか?お二方」 ドスの効いた笑顔で話すコトハを怯えた目で見る二人。 二人「……慎んで朝食を頂きます」 二人の震えた声を聞いたあたしは、今度は両手に出来上がってたハムエッグを持ってくる。 その途中、秋が突進してきたが、右に半回転して避ける。 ハムエッグが皿から落ちることも、あたしの手から皿が落ちることもなかった。 コトハ「秋、危ないでしょ!家、お世辞にも広いって言えないんだから、走らないで」 守りきった朝食を二人の前に置きながら、秋を叱った。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3449人が本棚に入れています
本棚に追加