どこかで

2/5
前へ
/107ページ
次へ
カツンカツンカツン。 闇に包まれた場所に響く足音。ヒールを鳴らす音はすぐに、途絶え持ち主が歩くのをやめたことが伺える。 ヒールの持ち主を胸に横一文字の傷痕がある魔人は見上げた。 「お久しぶりに御座います。ベル様」 ベル「随分と無様にやられたものねクシュツ。こんなのが魔人の中でトップ3なんて笑わせるわ」 ベルと呼ばれた女はクシュツの傷痕をつま先でグリグリと押す。 クシュツ「グァッ…お、お許しをベル様」 ベル「許すですって?実験も失敗したくせに生意気なことを言うんじゃないわ!!」 さらに強く傷痕を押す。見かねた隣にいた魔人が助け船を出す。 「どうか、ベル様の御慈悲で許してはもらえませんか?クシュツも反省しております。次は必ずや魔族様達のご期待に応えるでしょう」 押すのをやめ、隣の魔人を睨みつける。魔人は強く睨まれたことに怯む。 「やめないかベル。魔族の唯一の生き残りである我らは常に気高く、冷静さを欠いてはならぬ」 玉座の近くで立っている男が口を開く。 魔族は魔法と共にあり、昔人間に滅ぼされた存在だ。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3449人が本棚に入れています
本棚に追加