1140人が本棚に入れています
本棚に追加
村に着くと少年は真っ先に鍛治場へと向かった。
鍛治場には数人働いている人たちがいたが、少年はその人たちには目もくれず、少年は鍛治場の奥にいる男に話しかけた。
「オルカじいさん、持ってきたよ」
と少年が言うと、オルカと呼ばれた男は即座に反論した。
「レイ、俺はまだ45だ。じいさんはよけいだと言ってるだろうが」
この会話はこのごろ日常茶飯事になっている。
レイと言われた少年は小さな声で呟いた。
「45って十分ジジイだと思うけどな……」
「何か言ったか?」
オルカが鬼の形相で見つめてきた。なんて地獄耳なんだ。畜生め。
「な、何にも言ってないよ?」
平静を保とうとするが、嘘はつけないものだ。声が妙に裏返ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!