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いざ参る
俺は、ヤツがいるであろう場所に赴いた。
俺の“居場所”だった場所にヤツはいた。
白く長い髭を漂わせ、大きな黒い瞳を細めてこちらを見ている。
ふてぶてしい顔つきだ。
いつもの、俺を見下す表情をしたヤツがこちらを眺めている。
いつまでその余裕を保っていられるかな!
俺は一足飛びに距離を詰めた。
俺の攻め気を読んでいたヤツも立ち上がり警戒したが、
――遅い!
勢いをそのままに、左の刃をすれ違い様に振り切る。
瞬時に身体を反らせたヤツの毛を掠める。
ヤツの表情から余裕の色が消えた。
俺達は言葉も交わさないまま睨み合う。
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