7人が本棚に入れています
本棚に追加
いつかどこかで唄う詩
*
「みゃーぉ」
陽当たりのいい窓辺に、満足気に佇む一匹のネコが唄った。
そのネコから逃げるように走るネコもいる。首には紅い傷が刻まれていた。
「こら! タマ! ミケ! ケンカしちゃだめって何回言えばわかるのよ!」
そこは、街の一角の雑居ビルに看板を構えるネコ喫茶。
十数匹のネコが同居する、この限られた空間では、縄張り争いが絶えないようだ。
部屋に一つしかない大きな窓。
その中央はとても陽当たりがよく、ネコにとっては最高に気持ちがいいのだろう。
叱られながらも、そのネコは夢見ごこちの表情を浮かべるのであった。
――Fin
最初のコメントを投稿しよう!