いつかどこかで唄う詩

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いつかどこかで唄う詩

   * 「みゃーぉ」  陽当たりのいい窓辺に、満足気に佇む一匹のネコが唄った。  そのネコから逃げるように走るネコもいる。首には紅い傷が刻まれていた。 「こら! タマ! ミケ! ケンカしちゃだめって何回言えばわかるのよ!」  そこは、街の一角の雑居ビルに看板を構えるネコ喫茶。  十数匹のネコが同居する、この限られた空間では、縄張り争いが絶えないようだ。  部屋に一つしかない大きな窓。  その中央はとても陽当たりがよく、ネコにとっては最高に気持ちがいいのだろう。  叱られながらも、そのネコは夢見ごこちの表情を浮かべるのであった。  ――Fin
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