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『ぁあっ………ゆ…かわ…せん…せっ?』
「ん?」
『っ……はぁっ……んんっ…なん…で…』
さっきまで、普通に隣に座っていたはずの彼の腕が、薫の肩にぐるりと回され、指先は無造作に胸元に突っ込まれていた。薫にはわけがわからない。
『……ねぇっ…せんせ…っ…?』
薫とは反対に余裕の表情を浮かべる湯川は、相変わらず彼女の胸を弄んでいた。
彼のその口元は薄笑いが浮かべられる…
自分より遥かに大きな手で果実を掴まれ、頂きをきゅうっとつままれると、薫は躯から力が抜けていくのを感じた。
湯川は崩れてきた躯を、待ってましたとばかりにふわりと抱く。
涙目で自分を睨む彼女に、愛おしさしか感じない。
真っ昼間の自宅ソファで、大の大人が何をやっているんだ、と思ったがここまで来ては、後には戻れない。
「すまない。今、非常に君を抱きたい気分なんだ。日頃の謝礼だと思ってくれて構わない。」
『………ぇ?…』
「だめかい?」
さっきまで、強気だったくせに、不安の入り混じった彼の瞳。
頬が自然と熱くなる。
そんな目で言われたら嫌だっていう女はいないわよ!…薫はそう思った。ただ、日頃の謝礼なんかで抱かれるのは最悪だ。恥ずかしいけど、本心を口にする。
『……私の事、ちゃんと想ってしてくれなきゃ……だめです…』
湯川は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐいつものポーカーフェイスに戻った。
「そうだな。君がそう言うなら、僕も君を本心で抱ける。」
『…本心…?』
「あぁ。」
そういうと湯川は、薫の耳元に唇を近づけ言った。
「愛してる……薫…」
fin
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