君を抱かせて?

2/2
前へ
/12ページ
次へ
『ぁあっ………ゆ…かわ…せん…せっ?』 「ん?」 『っ……はぁっ……んんっ…なん…で…』 さっきまで、普通に隣に座っていたはずの彼の腕が、薫の肩にぐるりと回され、指先は無造作に胸元に突っ込まれていた。薫にはわけがわからない。 『……ねぇっ…せんせ…っ…?』 薫とは反対に余裕の表情を浮かべる湯川は、相変わらず彼女の胸を弄んでいた。 彼のその口元は薄笑いが浮かべられる… 自分より遥かに大きな手で果実を掴まれ、頂きをきゅうっとつままれると、薫は躯から力が抜けていくのを感じた。 湯川は崩れてきた躯を、待ってましたとばかりにふわりと抱く。 涙目で自分を睨む彼女に、愛おしさしか感じない。 真っ昼間の自宅ソファで、大の大人が何をやっているんだ、と思ったがここまで来ては、後には戻れない。 「すまない。今、非常に君を抱きたい気分なんだ。日頃の謝礼だと思ってくれて構わない。」 『………ぇ?…』 「だめかい?」 さっきまで、強気だったくせに、不安の入り混じった彼の瞳。 頬が自然と熱くなる。 そんな目で言われたら嫌だっていう女はいないわよ!…薫はそう思った。ただ、日頃の謝礼なんかで抱かれるのは最悪だ。恥ずかしいけど、本心を口にする。 『……私の事、ちゃんと想ってしてくれなきゃ……だめです…』 湯川は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐいつものポーカーフェイスに戻った。 「そうだな。君がそう言うなら、僕も君を本心で抱ける。」 『…本心…?』 「あぁ。」 そういうと湯川は、薫の耳元に唇を近づけ言った。 「愛してる……薫…」 fin
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加