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[せめてカッコいいって言って欲しいぜ]
「なっ!?」
声が、突然響いた。
俺は辺りを見回すが、ソル達以外誰も居ない。当然、この声はソル達の物ではない。
[オイオイ、どこ見てンだァ? ここにいるだろォが]
「?……??」
声は下の方から聞こえてくる。
俺は視線を下に移す。
……誰もいない。当たり前だ、そんなに近くにいたら誰だって気づく。
現に今下を向いている俺の視界にあるのは、床と俺が握っている刀だけ……刀?
[だーかーらァ、さっきからここにいンだろォが!!]
若干イラついたような声が『刀』から響いた──は?
「ええぇぇぇぇぇ!?」
俺、この世界に来てから驚いてばっかりだな。
[その反応は些か失礼じゃァねェか?]
今度は不服そうな声が響いた。 感情表現豊かだな~って違うッ!!
「何だお前!?」
[あァ? 何だ、とはご挨拶じゃねェか。 オマエが俺を作ったンだろ?]
俺が、作った……?
「てことはお前、この刀か?」
[やァーっと気付いたか、ノロマが]
「な、お前も十分失礼じゃねぇか!!」
「ねぇ、竜哉。誰と話してるの?」
「え?」
俺達が怒鳴り合っているところにソルが言ってきた。
あれ?ソル達にはこいつの声が聞こえないのか?
[ったりめェだろ。俺の声は言わば思念波みてェなモンだ。そもそも俺は刀だぜ? 発声器官なンざねェよ]
成程、と納得していると、
「竜哉、大丈夫?」
ソルが上目遣いに覗き込んできた。
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