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「……」
ソイツは丁度真横を向いていて、こちらからは顔が見えない。男か女かすら解らない。
「あの~……」
声をかけてみた。
「……?」
お、反応した。
ソイツはゆっくりとこちらに顔を向けた……?
「ッ!?」
かっ、可愛い!!
不意に浮かんだ言葉はそれだった。
ソイツは女だった。
先程はマントと言ったが、フードも被っているため明確な輪郭は解らないが、どうやら銀髪のようだ。
透き通るような白磁の肌、サラサラの銀髪、そして、血のように紅く、赤く、緋い瞳。
……外人か?
「なぁ、おい……?」
通じるかは不安だったが、取り敢えず声をかけてみた。
後になってみれば、なんで声をかけたのか、全くわからないが。
「……聞こえている」
思いっきり日本語だった。
しかも、かなり不機嫌そうだな。
特に話すことも無かったので「いえ、すみません……」と言って立ち去ろうとした時、
「アンタ、後ろに気を付けなさいよ。」
「は?後ろ?」
何故後ろ?と思いつつ、後ろを振り返ってみた。と、
「グルルルル……」
犬らしきものがいた。しかし、その犬は腐りに腐りきった死骸の犬で、廃材が混ざって醜悪な異様を見せつけていた。
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