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思いっきり後ずさる俺。
すると後ずさり過ぎて、その少女にぶつかった。
「うおっ?」
ドン、とぶつかった音が響く。
それを合図に犬?が襲ってきた。
「グワァァァォォォ!!」
「うわっ!?やべッ!!」
口から垂れ流れる涎を撒き散らし迫る化け物に、俺は情けない悲鳴をあげて咄嗟に逃げ出した──その少女を置いて。
「ガオォォォゥゥ!!」
「ひッ──!?」
逃げる俺、追いかける化け物。
鬼ごっこみたいだが、それは事実。
捕まれば殺されるに決まってる鬼ごっこだ。
俺は化け物に恐怖して情けない声を上げ、つまづいてしまった。
「ガゥッ!!」
ヤツはそれを逃さず、あろうことか廃材の一部(鉄骨の欠片)を、弾丸の如く飛ばしてきた。
「ッぐあァッ!?」
俺は痛みに悲鳴を上げる間もなく地面に転がった。
汚い、とか思う余裕も無かった。
ノシッ……ノシッ……
ハッ……ハッ……
近寄って来る足音、犬の荒い息。それが俺には死へのカウントダウンに聞こえた。
「死……ぬ……?」
こんな所で死ぬ?
こんなゴミ山みたいな場所で?
──冗談じゃないッ!!
「死んで……たまるか……ッ!」
口から漏れる意地にも似た絶え絶えの呟きを聞いているのは犬?しかいない。
通じる筈もない、返事が返って来る筈もない。だが──
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