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「そう、なら生きなさい」
──ソレは応えた。
ヒュッ──キンッ!!
何かを振るう音と切り裂く音が聞こえた。
「ギャァァァ……」
続いて聞こえた犬?の断末魔。
コツコツ……
ブーツのような、硬質な足音。
もう俺には音しか聞こえない。
さっきの欠片は頭に当たったみたいで、激痛のせいで意識が朦朧としていた。
「はあ……面倒事を増やさないで欲しいわね……」
そんな声が聞こえた直後、
「〈癒(ヒーリング)〉」
そんな声が聞こえ、俺の体が銀色の光に包まれたのが、かろうじて解った。
すると、
「あ、あれ……?動ける……?」
俺の体の痛みがどんどん引いていき、意識が回復し始めた。
何が起こったのか解らず、とりあえず立ち上がってみた。
すると、やはりと言うべきか、其処にいたのは先程の少女だった。
「あんたが助け……ッ!?」
てくれたのか?という俺の言葉は消えた。消え失せた。
何故なら少女の右手には、自身より巨大な、禍々しい大鎌が握られていたからだ。
ポタポタと赤黒い液体がその刃先から滴り落ちる。恐らくは犬?の血だろう。すぐそこに犬?の真っ二つになった死骸があるのだから。
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