二語り

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今日もいる…。 私は学校へ行く為、ホームで電車を待っていた。 今日もまた、私の視線は向かい側のホームへ移った。 ふらふらと、覚束ない足取りの女性が線路に落ちるギリギリの場所を歩いていた。 『--2番線ホームに電車が参ります---』 アナウンスが流れた。そしてすぐ、電車の走る音が近付いてくる。 ゴト、ゴト、ゴト--。 あ、…やっぱり飛び降りた。 電車が来た瞬間、覚束ない足取りで歩いていた女性が線路に飛び降りた。 電車はそのまま女性の飛び降りた線路を悠々と走り去った。 だがその事について誰も触れる事はなかった。 新聞を読むサラリーマン。ケータイをいじくる女子高生。ベンチに座る老人。 全てがいつも通り。誰も飛び降りた女性を咎める人はいない。 おかしい。 でもよく考えれば当たり前の事。 そう。見えていないだけなのだ。 私にしか見えていなかったから。
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