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「結婚するからって浮かれてんじゃねぇぞ」
「浮かれてませぬ」
「気が変わったら先延ばすからな」
「申し訳ございません」
「分かったらさっさと食え」
「承知致しました、弁慶様」
「誰がだ」
膝に両手を置いて頷くあたしを見て溜息を吐く弁慶様は、どうやらあたしの失態を許して下さったらしい。
熱いコーヒーを冷ます為、テーブルに頬杖を突いて煙草を吸いながら外の景色を眺めてる彼を見てもう怒ってない事を確認してから、漸くあたしも片手のサンドイッチにかぶりつく。
美味しくて思わずにやけてしまい、また何か言われないかと武蔵に視線を向けたけど、武蔵は外を見ててこっちに気付いてなかった。
……こうしてまじまじと見つめる武蔵は、お世辞抜きで格好良い。
スラッと通った鼻に、形の良い唇。
少し上に向いた眉は、彼が元から持つキリッとした顔立ちを更に引き立たせる。
喧嘩ばっかりだった割には肌も綺麗だし、煙草を挟む指も長い。
どっちかって言えばアッシュって感じの色の髪は、短い割にちゃんとワックスで立ててあって、言われなくても元ヤンだったって分かる。
だけどこれでもましになった方で、現役時代はキンキンの金髪だった。
けど、今も昔も格好良い事には変わりなくて……
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