愛嬌ハイテンション

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「おい、匠」 2人で盛り上がってたらお店の二階から武蔵が降りてきた。 どうやらもう出掛けないらしく、黒のTシャツにジャージを履いた思いっきし部屋着スタイルになってた。 「よっ、武蔵」 「どこ行ってやがった」 「近くのコンビニ。腹減ってさ」 「そうかよ」 「あぁ」 あたしの時とは少し違った話し方をする匠。 いつも元気で、煩いくらいのハイテンションで話す匠だけど……武蔵と話す時は必ず普通になる。 何か普通って言うか、落ち着いてるって言うか、あたしと違って話がはっちゃけてない。 ……いや、はっちゃけない様にしてるんだ。 それはきっと、“総長”だから。 匠にとって武蔵はクラスメイトである以前にチームメイトで、チームメイト以前に総長だから、置かれてた立場が全然違う。 チームの皆は全員武蔵を“総長”として信頼してて、従ってた。 だから今でも、時々チームメイトがお店を訪ねて来たりもする。 ……だけど、同時に畏怖の念もあって。 信頼してるけど、同時に恐れてて逆らえない面もあったと思う。 武蔵は“関東最強”って言われるくらい喧嘩じゃ負け無しで、総長を引退したけどここら辺なら“東城武蔵”の名前を聞くだけで震え上がる奴らが今だににいる。 “誰も勝てない無敗の絶対王者”。 武蔵は現役時代そうとも呼ばれてた。
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